フィギュアスケーターの浅田真央さんを応援するブログ
【去就に揺れる浅田、世界トップの実力を示す】
フィギュアスケート世界選手権の女子フリースケーティング(FS)が3月29日に行われ、ショートプログラム(SP)首位の浅田真央(中京大)が138.03点をマークし、自己ベストとなる合計216.69点で4年ぶり3度目の優勝を飾った。今季限りで現役を引退する鈴木明子(邦和スポーツランド)は6位(193.72点)。村上佳菜子(中京大)は10位(172.44点)に終わった。
2月のソチ五輪では6位とメダルに届かなかった浅田だが、今大会はさすがの強さを見せつけた。27日のSPではトリプルアクセルをきれいに決めるなど完璧な演技で、キム・ヨナ(韓国)が持っていた世界歴代最高得点を約4年ぶりに更新。FSはトリプルアクセルが回転不足を取られ、「ソチのときより一段落ちる演技になってしまった」ものの、全体1位のスコアで今シーズン最終戦を締めくくった。
目標としていた五輪での金メダル獲得は逃した。それでも今季はファイナルを含めたグランプリシリーズで全勝。五輪でもFSで6種類のトリプルジャンプに挑戦し、SPから劇的な復活を遂げるなど、日本中を感動の涙に包んだ。そして世界選手権を「雪辱の舞台」と位置づけ、その言葉通り圧巻の演技でソチのリベンジを果たした。「今回はSPとFSで、自分がやり切ったと思える演技をすることを目標としていて、それがほとんどできたのでうれしく思っています」と、浅田自身も満足いく内容だったようだ。五輪以外の国際大会ではすべて勝利を収めており、世界トップの実力が健在であることをあらためて証明した。
気になる去就に関してはいまだ明確にはしていない。現役続行か引退かは「ハーフハーフ」としており、揺れる心境を吐露している。ただ本人も「肉体的にはまだまだできる」と思っているようで、あとは「気持ち次第」だという。23歳となった今も自己ベストを更新するなど進化を続けているだけに、ここで現役を退くのは第三者からすれば惜しい気もするが、こればかりは浅田自身の決断を静かに待ちたい。
【現役引退の鈴木が後進に送ったエール】
一方、この大会を最後に競技生活に別れを告げたのが鈴木だ。FSの前日に29歳の誕生日を迎えたこのベテランは、SPで自己ベストを更新(71.02点)。表彰台入りも期待されたが、FSではジャンプにミスが出て得点が伸びず、6位という成績での幕引きとなった。演技後は晴れやかな表情を見せつつも心残りがあったようで、「思い描いた滑りではなかったので、悔しい思いもあります」と苦笑い。それでも「最高の演技で終わることがどれだけ難しいかというのが分かりました。こうした経験を今後の人生に生かしていきたい」と前を向いた。
10代の後半には摂食障害で、競技生命の危機に立たされた。しかし、この試練を乗り越えると、24歳でバンクーバー五輪に出場(8位入賞)。その後もコンスタントに結果を残し、2012年には世界選手権で銅メダルに輝く。28歳で迎えた今季は、出場13回目で初めて全日本選手権を制し、2度目の五輪出場を決めた。ソチ五輪では負傷の影響もあり、本来の演技はできなかったが、2大会連続となる8位入賞を果たしている。
決して歩みは早くなかった。それでも地道に努力を重ね、29歳までトップレベルを維持した。「私は小さい頃から、いろいろなことを習得するまでにすごく時間がかかるタイプ。それが自分でも分かっているから、コツコツと続ければ何とかなるんだという気持ちはありました」と振り返る。
そして後進たちにはこうエールを送った。
「今だと10代から表舞台に出ていかないと世界のトップには行けないみたいな感じがあります。でも、人間やっぱり伸びしろはそれぞれ違うと思うので、どこでその花が開くか分からない。私がそういう良い例になってくれればいいと思っています。長く選手生活を続ければ、もちろん悔しいことや悪いこともあります。それでも必ず『やってきて良かった』と、今日私が味わったような瞬間を迎えられると思うので、今の選手たちにはできるだけ現役を長く続けてもらいたいですね」
【村上に求められる「メンタル面の強化」】
19歳の村上は、またも大舞台で本領を発揮できなかった。1月の四大陸選手権で初優勝を飾り、意気揚々と乗り込んだソチ五輪は12位。現地入り後も好調を維持しながら、本番の数日前から「目に見えない恐怖に襲われてしまった」。
五輪の悔しさを晴らすべく、帰国後すぐに世界選手権へ向けた練習を開始。集中的に良いトレーニングを積めたようで、大会前の公式会見では「気づいたら、あさって試合があるんだという感じになっていました」と明るい顔を見せていた。
SPでは演技が終わった瞬間、思わずガッツポーズが出たものの、回転不足など小さなミスが重なり10位スタート。「終わったあとにやり切ったと思えるように頑張りたい」とFSでの巻き返しを誓ったが、11個のジャンプのうち6個で回転不足を取られ、スコアを伸ばせなかった(111.58点)。
今季を振り返って「良かった試合もあるんですけど、全体的に見て心残りです」と語った村上。シーズン序盤は靴が壊れるアクシデントに見舞われたり、SPの曲を変更したりとバタバタが続き、五輪出場も危ぶまれた。しかし、昨年末の全日本選手権で200点超えの演技を見せ、ソチへの切符を勝ち取ると、四大陸選手権も制覇。勢いづいたかに思えたが、五輪と世界選手権では失速と、アップダウンの激しい1年を過ごした。
今後に向けた課題は、「メンタル面の強化」だろう。村上を指導する山田満知子コーチは「まだまだ甘い部分があるし、欲がない。練習では頑張っているのに、それが本番で出ないのは彼女の弱さだと思う」と指摘する。村上自身も「自分は気持ちで動くタイプなので、メンタルを強くできれば、技術面もすべてうまくいくようになる」と考えており、来季へ向け、改善に努めていくことになりそうだ。
【厳しい時代が訪れる可能性も】
激動の五輪シーズンが終了し、来季以降は女子の勢力図が大きく変化することが予想される。中心はロシア勢だ。ソチ五輪で17歳のアデリナ・ソトニコワが金メダルを獲得。世界選手権でも15歳のユリア・リプニツカヤが銀メダルに輝き、同じく15歳のアンナ・ポゴリラヤが4位に入った。五輪は年齢制限で出場できなかった14歳のエレーナ・ラジオノワもいる。このロシア勢にどう食らいついていくか。それが各国のテーマとなっていくことだろう。
一方、日本には厳しい時代が訪れるかもしれない。現時点でロシア勢を含めた世界の強豪と互角に戦える選手は浅田のみ。その浅田の去就が不透明となっている現状では、大きな期待は寄せられない。
山田コーチも同様の意見を述べている。
「真央ちゃんがどうするのかは分からないですけど、あっこちゃん(鈴木)は引退。宮原さん(知子、関大中・高スケート部)や、ノービスにいる子供たちは確かに伸びてきている。でもシニアで戦うまでにはまだ時間がかかる。一時は日本の女子が世界のトップに立っていましたけど、今はロシアや米国が頑張ってきているので、日本も大変な時期が来ると思います」
くしくも男子は、今回の世界選手権で羽生結弦(ANA)と町田樹(関西大)が史上まれに見る大激戦の末、1、2フィニッシュを決めるなど充実の一途をたどっている。羽生を軸に今後も日本勢が世界をリードしていきそうだ。もちろん女子も浅田が現役を続けることになれば話は変わってくる。世界に対してすぐに遅れを取るということはないだろう。ただ1つ確実に言えるのは、日本の女子フィギュアは現在岐路に立たされているということ。ここで道を誤れば、次に待ち受ける時代は決して楽観できるものではない。
<了>
(取材・文:大橋護良/スポーツナビ) 2014年3月30日 11:15
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若手の中では宮原さんに期待している。
ただ、すごくいい演技だと思っても点が伸びないのはなぜだろう。
村上さんは一度山田コーチから離れた方がいいのでは?
このままではメンタル面は強化できないと思う。
真央ちゃんが引退してしまったら、人気の面でも厳しいかも…。
フィギュアスケート世界選手権の女子フリースケーティング(FS)が3月29日に行われ、ショートプログラム(SP)首位の浅田真央(中京大)が138.03点をマークし、自己ベストとなる合計216.69点で4年ぶり3度目の優勝を飾った。今季限りで現役を引退する鈴木明子(邦和スポーツランド)は6位(193.72点)。村上佳菜子(中京大)は10位(172.44点)に終わった。
2月のソチ五輪では6位とメダルに届かなかった浅田だが、今大会はさすがの強さを見せつけた。27日のSPではトリプルアクセルをきれいに決めるなど完璧な演技で、キム・ヨナ(韓国)が持っていた世界歴代最高得点を約4年ぶりに更新。FSはトリプルアクセルが回転不足を取られ、「ソチのときより一段落ちる演技になってしまった」ものの、全体1位のスコアで今シーズン最終戦を締めくくった。
目標としていた五輪での金メダル獲得は逃した。それでも今季はファイナルを含めたグランプリシリーズで全勝。五輪でもFSで6種類のトリプルジャンプに挑戦し、SPから劇的な復活を遂げるなど、日本中を感動の涙に包んだ。そして世界選手権を「雪辱の舞台」と位置づけ、その言葉通り圧巻の演技でソチのリベンジを果たした。「今回はSPとFSで、自分がやり切ったと思える演技をすることを目標としていて、それがほとんどできたのでうれしく思っています」と、浅田自身も満足いく内容だったようだ。五輪以外の国際大会ではすべて勝利を収めており、世界トップの実力が健在であることをあらためて証明した。
気になる去就に関してはいまだ明確にはしていない。現役続行か引退かは「ハーフハーフ」としており、揺れる心境を吐露している。ただ本人も「肉体的にはまだまだできる」と思っているようで、あとは「気持ち次第」だという。23歳となった今も自己ベストを更新するなど進化を続けているだけに、ここで現役を退くのは第三者からすれば惜しい気もするが、こればかりは浅田自身の決断を静かに待ちたい。
【現役引退の鈴木が後進に送ったエール】
一方、この大会を最後に競技生活に別れを告げたのが鈴木だ。FSの前日に29歳の誕生日を迎えたこのベテランは、SPで自己ベストを更新(71.02点)。表彰台入りも期待されたが、FSではジャンプにミスが出て得点が伸びず、6位という成績での幕引きとなった。演技後は晴れやかな表情を見せつつも心残りがあったようで、「思い描いた滑りではなかったので、悔しい思いもあります」と苦笑い。それでも「最高の演技で終わることがどれだけ難しいかというのが分かりました。こうした経験を今後の人生に生かしていきたい」と前を向いた。
10代の後半には摂食障害で、競技生命の危機に立たされた。しかし、この試練を乗り越えると、24歳でバンクーバー五輪に出場(8位入賞)。その後もコンスタントに結果を残し、2012年には世界選手権で銅メダルに輝く。28歳で迎えた今季は、出場13回目で初めて全日本選手権を制し、2度目の五輪出場を決めた。ソチ五輪では負傷の影響もあり、本来の演技はできなかったが、2大会連続となる8位入賞を果たしている。
決して歩みは早くなかった。それでも地道に努力を重ね、29歳までトップレベルを維持した。「私は小さい頃から、いろいろなことを習得するまでにすごく時間がかかるタイプ。それが自分でも分かっているから、コツコツと続ければ何とかなるんだという気持ちはありました」と振り返る。
そして後進たちにはこうエールを送った。
「今だと10代から表舞台に出ていかないと世界のトップには行けないみたいな感じがあります。でも、人間やっぱり伸びしろはそれぞれ違うと思うので、どこでその花が開くか分からない。私がそういう良い例になってくれればいいと思っています。長く選手生活を続ければ、もちろん悔しいことや悪いこともあります。それでも必ず『やってきて良かった』と、今日私が味わったような瞬間を迎えられると思うので、今の選手たちにはできるだけ現役を長く続けてもらいたいですね」
【村上に求められる「メンタル面の強化」】
19歳の村上は、またも大舞台で本領を発揮できなかった。1月の四大陸選手権で初優勝を飾り、意気揚々と乗り込んだソチ五輪は12位。現地入り後も好調を維持しながら、本番の数日前から「目に見えない恐怖に襲われてしまった」。
五輪の悔しさを晴らすべく、帰国後すぐに世界選手権へ向けた練習を開始。集中的に良いトレーニングを積めたようで、大会前の公式会見では「気づいたら、あさって試合があるんだという感じになっていました」と明るい顔を見せていた。
SPでは演技が終わった瞬間、思わずガッツポーズが出たものの、回転不足など小さなミスが重なり10位スタート。「終わったあとにやり切ったと思えるように頑張りたい」とFSでの巻き返しを誓ったが、11個のジャンプのうち6個で回転不足を取られ、スコアを伸ばせなかった(111.58点)。
今季を振り返って「良かった試合もあるんですけど、全体的に見て心残りです」と語った村上。シーズン序盤は靴が壊れるアクシデントに見舞われたり、SPの曲を変更したりとバタバタが続き、五輪出場も危ぶまれた。しかし、昨年末の全日本選手権で200点超えの演技を見せ、ソチへの切符を勝ち取ると、四大陸選手権も制覇。勢いづいたかに思えたが、五輪と世界選手権では失速と、アップダウンの激しい1年を過ごした。
今後に向けた課題は、「メンタル面の強化」だろう。村上を指導する山田満知子コーチは「まだまだ甘い部分があるし、欲がない。練習では頑張っているのに、それが本番で出ないのは彼女の弱さだと思う」と指摘する。村上自身も「自分は気持ちで動くタイプなので、メンタルを強くできれば、技術面もすべてうまくいくようになる」と考えており、来季へ向け、改善に努めていくことになりそうだ。
【厳しい時代が訪れる可能性も】
激動の五輪シーズンが終了し、来季以降は女子の勢力図が大きく変化することが予想される。中心はロシア勢だ。ソチ五輪で17歳のアデリナ・ソトニコワが金メダルを獲得。世界選手権でも15歳のユリア・リプニツカヤが銀メダルに輝き、同じく15歳のアンナ・ポゴリラヤが4位に入った。五輪は年齢制限で出場できなかった14歳のエレーナ・ラジオノワもいる。このロシア勢にどう食らいついていくか。それが各国のテーマとなっていくことだろう。
一方、日本には厳しい時代が訪れるかもしれない。現時点でロシア勢を含めた世界の強豪と互角に戦える選手は浅田のみ。その浅田の去就が不透明となっている現状では、大きな期待は寄せられない。
山田コーチも同様の意見を述べている。
「真央ちゃんがどうするのかは分からないですけど、あっこちゃん(鈴木)は引退。宮原さん(知子、関大中・高スケート部)や、ノービスにいる子供たちは確かに伸びてきている。でもシニアで戦うまでにはまだ時間がかかる。一時は日本の女子が世界のトップに立っていましたけど、今はロシアや米国が頑張ってきているので、日本も大変な時期が来ると思います」
くしくも男子は、今回の世界選手権で羽生結弦(ANA)と町田樹(関西大)が史上まれに見る大激戦の末、1、2フィニッシュを決めるなど充実の一途をたどっている。羽生を軸に今後も日本勢が世界をリードしていきそうだ。もちろん女子も浅田が現役を続けることになれば話は変わってくる。世界に対してすぐに遅れを取るということはないだろう。ただ1つ確実に言えるのは、日本の女子フィギュアは現在岐路に立たされているということ。ここで道を誤れば、次に待ち受ける時代は決して楽観できるものではない。
<了>
(取材・文:大橋護良/スポーツナビ) 2014年3月30日 11:15
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若手の中では宮原さんに期待している。
ただ、すごくいい演技だと思っても点が伸びないのはなぜだろう。
村上さんは一度山田コーチから離れた方がいいのでは?
このままではメンタル面は強化できないと思う。
真央ちゃんが引退してしまったら、人気の面でも厳しいかも…。
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