フィギュアスケーターの浅田真央さんを応援するブログ
【浅田、柔らかに舞う エキシビション】

福岡市で行われたフィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル。上位入賞選手らは8日、エキシビションに出演した。浅田は金色の衣装で最後に登場。ポップ調の「この素晴らしき世界」のメロディーに乗って、柔らかな動きで舞い、会場をゆったりとしたムードで包んだ。アンコールではフリーの終盤の見せ場となるステップを、競技の時よりリラックスした表情で披露した。
羽生はAiさんの曲「Story」に合わせ、情感豊かに演じた。選手全員によるフィナーレの後には1人だけ氷上に戻り、4回転、3回転半、3回転半とジャンプを連発。観客を大いに沸かせた。
毎日新聞 12月8日(日)20時49分配信
【真央チャプリンを優雅に舞う…ダブルアクセル“失敗”で苦笑い】
「フィギュアスケート・GPファイナル・エキシビション」(8日、マリンメッセ福岡)
GPファイナルで日本人アベック優勝を果たした浅田真央(23)=中京大=、羽生結弦(19)=ANA=らが出演し、世界最高峰の戦いを締めくくった。真央はゴールドのドレス姿で、チャプリンの「スマイル」を優雅に舞った。ダブルアクセルで珍しく両足着氷となり、苦笑いを浮かべる場面もあったが、アンコールではフリーの「ピアノ協奏曲第2番」にのせ、複雑なステップを披露した。
羽生はAIの「Story」を感情豊かに表現。フィナーレ後には1人で登場し、4回転トーループ、トリプルアクセル、トリプルアクセルと高難度ジャンプを連続で決める大サービス。エンターテイナーぶりを発揮していた。
デイリースポーツ 12月8日(日)17時55分配信
福岡市で行われたフィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル。上位入賞選手らは8日、エキシビションに出演した。浅田は金色の衣装で最後に登場。ポップ調の「この素晴らしき世界」のメロディーに乗って、柔らかな動きで舞い、会場をゆったりとしたムードで包んだ。アンコールではフリーの終盤の見せ場となるステップを、競技の時よりリラックスした表情で披露した。
羽生はAiさんの曲「Story」に合わせ、情感豊かに演じた。選手全員によるフィナーレの後には1人だけ氷上に戻り、4回転、3回転半、3回転半とジャンプを連発。観客を大いに沸かせた。
毎日新聞 12月8日(日)20時49分配信
【真央チャプリンを優雅に舞う…ダブルアクセル“失敗”で苦笑い】
「フィギュアスケート・GPファイナル・エキシビション」(8日、マリンメッセ福岡)
GPファイナルで日本人アベック優勝を果たした浅田真央(23)=中京大=、羽生結弦(19)=ANA=らが出演し、世界最高峰の戦いを締めくくった。真央はゴールドのドレス姿で、チャプリンの「スマイル」を優雅に舞った。ダブルアクセルで珍しく両足着氷となり、苦笑いを浮かべる場面もあったが、アンコールではフリーの「ピアノ協奏曲第2番」にのせ、複雑なステップを披露した。
羽生はAIの「Story」を感情豊かに表現。フィナーレ後には1人で登場し、4回転トーループ、トリプルアクセル、トリプルアクセルと高難度ジャンプを連続で決める大サービス。エンターテイナーぶりを発揮していた。
デイリースポーツ 12月8日(日)17時55分配信
浅田真央は、少し首をひねってから笑顔に戻った。
笑いと悔しさ。
同居した2つの表情は、グランプリファイナルの連覇(歴代最多タイの4度目)という歓喜、その裏にあったトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の失敗、そして課題の発見という複雑な感情から生み出されたものだ。
「アクセルに2回挑戦したんですけど、失敗してしまって……途中から体力が持つかなという心配がありましたが、どうにか滑りきることが出来ました」
2度、チャレンジしたトリプルアクセルの大技。一度目は着氷に失敗して転倒した。2度目は、両足着氷となってしまうミス……。WEBサイトのアスリートジャーナルで、コラムを執筆している元全日本選手権準優勝の中庭健介氏は、「一度目に失敗したのに演技構成を変えずに、そのまま2度目にチャレンジした勇気を評価したい」と言う。
「一度目のミスは、上体が少し後傾となり踵から着氷する形になりました。おそらく高さを意識して前後に軸がぶれたのだと思います。2度目は、その修正を心がけたのでしょう。今度は、少し思い切りに欠けて勢いが足りませんでした。練習では成功していましたが、この大舞台でチャレンジした勇気が素晴らしい。後半の演技に自信を持っているからこそできたものだと思うのですが、転倒すれば、音に遅れますから、再び合わせるためスピードを上げて対応する必要も出てきます。体力的にもメンタル面でも、様々な影響が出るにも関わらず後半にしっかりと立て直しました。今回、試したことは、間違いなくオリンピックの金メダルを意識してのものです。ソチで金メダルを獲得するには、2つのトリプルアクセルが必要だと考えているのでしょう。僕も、その考え方には賛成です。もう大会が少ないですから次の全日本でも同じプログラム構成で挑戦してくるのではないでしょうか」
トリプルアクセルはリスクを伴うジャンプでもある。ミスをすれば、転倒から起き上がる際に大きく体力をロスするし精神的ダメージも大きい。しかも、中庭氏が説明したように、本来、すべての演技の成功を想定してプログラムが作られているので、ミスをすれば音楽のテンポに遅れ、それを取り戻すためのチェンジオブペースが必要となり、大きなエネルギーを使う。
だが、浅田は、そのミスのダメージを後半に、それほど見せなかった。世界最高峰のレベルを維持しているスピンは、すべてレベル4と評価され、トリプルサルコウ、トリプルフリップ-ダブルループ-ダブルループの3連続ジャンプは成功させた。
会見で、浅田はトリプルアクセル失敗の理由を聞かれ「今はわからない」と答えたが、彼女は、きっと感覚的に、なぜミスをしたのかの原因をつかんでいるはずだ。失敗がなければ課題は見つからない。その意味でグランプリファイナルという最高の舞台で優勝と同時にソチで金を狙うための“テスト”を試みたことに大きな意義があった。浅田の飽くなき探究心を象徴するような金メダルだった。
(協力:アスリートジャーナル(http://www.athlete-journal.com/))
THE PAGE 12月8日(日)0時5分配信
笑いと悔しさ。
同居した2つの表情は、グランプリファイナルの連覇(歴代最多タイの4度目)という歓喜、その裏にあったトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の失敗、そして課題の発見という複雑な感情から生み出されたものだ。
「アクセルに2回挑戦したんですけど、失敗してしまって……途中から体力が持つかなという心配がありましたが、どうにか滑りきることが出来ました」
2度、チャレンジしたトリプルアクセルの大技。一度目は着氷に失敗して転倒した。2度目は、両足着氷となってしまうミス……。WEBサイトのアスリートジャーナルで、コラムを執筆している元全日本選手権準優勝の中庭健介氏は、「一度目に失敗したのに演技構成を変えずに、そのまま2度目にチャレンジした勇気を評価したい」と言う。
「一度目のミスは、上体が少し後傾となり踵から着氷する形になりました。おそらく高さを意識して前後に軸がぶれたのだと思います。2度目は、その修正を心がけたのでしょう。今度は、少し思い切りに欠けて勢いが足りませんでした。練習では成功していましたが、この大舞台でチャレンジした勇気が素晴らしい。後半の演技に自信を持っているからこそできたものだと思うのですが、転倒すれば、音に遅れますから、再び合わせるためスピードを上げて対応する必要も出てきます。体力的にもメンタル面でも、様々な影響が出るにも関わらず後半にしっかりと立て直しました。今回、試したことは、間違いなくオリンピックの金メダルを意識してのものです。ソチで金メダルを獲得するには、2つのトリプルアクセルが必要だと考えているのでしょう。僕も、その考え方には賛成です。もう大会が少ないですから次の全日本でも同じプログラム構成で挑戦してくるのではないでしょうか」
トリプルアクセルはリスクを伴うジャンプでもある。ミスをすれば、転倒から起き上がる際に大きく体力をロスするし精神的ダメージも大きい。しかも、中庭氏が説明したように、本来、すべての演技の成功を想定してプログラムが作られているので、ミスをすれば音楽のテンポに遅れ、それを取り戻すためのチェンジオブペースが必要となり、大きなエネルギーを使う。
だが、浅田は、そのミスのダメージを後半に、それほど見せなかった。世界最高峰のレベルを維持しているスピンは、すべてレベル4と評価され、トリプルサルコウ、トリプルフリップ-ダブルループ-ダブルループの3連続ジャンプは成功させた。
会見で、浅田はトリプルアクセル失敗の理由を聞かれ「今はわからない」と答えたが、彼女は、きっと感覚的に、なぜミスをしたのかの原因をつかんでいるはずだ。失敗がなければ課題は見つからない。その意味でグランプリファイナルという最高の舞台で優勝と同時にソチで金を狙うための“テスト”を試みたことに大きな意義があった。浅田の飽くなき探究心を象徴するような金メダルだった。
(協力:アスリートジャーナル(http://www.athlete-journal.com/))
THE PAGE 12月8日(日)0時5分配信
【悔いが残ったFSでの失敗】

浅田真央(中京大)にとって、もはや敵は内なる自分しかいないのかもしれない。今季のグランプリ(GP)シリーズは2戦2勝。12月5日から行われたGPファイナル(福岡)でも、2位のユリア・リプニツカヤ(ロシア)に12点近くの差をつけて危なげなく連覇を達成した。決して完璧な演技をしているわけではない。7日のフリースケーティング(FS)でも、冒頭のトリプルアクセルで転倒、2本目も回転不足を取られた。スピンではすべてレベル4を獲得しているが、自身が目指していた演技には程遠い出来だった。
浅田もそれを認めている。
「今回のファイナルでは、自分の目指していたことがショートプログラム(SP)ではできていたんですけど、FSではそれを達成できなくてとても悔しい気持ちです。トリプルアクセルを2回入れるというプログラム構成は、いま自分ができる最高レベルのものです。1回目をしっかり降りたら、もう1回は落ち着いていこうと思っていたんですけど、大きな転倒をしてしまうとやはりなかなか次が難しいです。シミュレーションができていない状況での挑戦だったので、もう少し練習が必要かなと思っています」
5日のSPでは、回転不足こそ取られたもののトリプルアクセルの着氷に成功。「良いジャンプを跳べている」と、手応えを語っていた。周囲の期待も当然高まっていたはずだが、またしても成功はおあずけとなってしまった。自身への期待もあったのだろう。FS後にミックスゾーンに現れた浅田の表情は、とても優勝者のそれには見えなかった。
「今回は順位よりも自分が目指しているレベルの演技をしようと思っていました。SPは満足していますが、FSはまだまだ目指しているエレメンツをクリアすることができなかったので、悔いは残っています」
【積極的に挑戦したことは意味がある】

そもそも浅田がFSでトリプルアクセルを2回入れることを示唆したのは、11月に行われたNHK杯でのことだった。「スケートアメリカのとき、(佐藤)信夫先生と一緒に練習しているうちにトリプルアクセルの調子が良くなっていき、すごく簡単に跳べるようになったので、これなら入れてもいいんじゃないかと思ったんです」。突如として飛び出したこの発言は驚きを持って伝えられた。
浅田は2010年のバンクーバー五輪で、女子選手として史上初となるSPとFSで計3回のトリプルアクセルに成功。これはいまも破られていないが、五輪以降は、満足に跳べない日々が続いていた。ようやく今年初めから挑戦できる状態となり、2月の四大陸選手権ではうまく着氷した。とはいえまだ確率は低い。今季に入ってからも試合ではまだ1度も完璧には決めてはいなかった。
それでも「80パーセントぐらいはできると思っています。もっと上のレベルで練習していくほうが私も楽しいし、それを試合で決められたら最高です。バンクーバー五輪のシーズンより調子もいい。できる自信はあります」と、浅田は力強く宣言していた。
そして迎えたGPファイナル。FSでトリプルアクセルを2回入れる演技構成に変えた浅田は果敢にチャレンジした。結果は前述の通りだが、積極的に挑戦したことには意味がある。「今回は挑戦してみなきゃ分からない部分があったので、とりあえず挑戦して、ここから先をどうするかを、この先の練習を見て決めていきたいと思っています」と、佐藤コーチも同調していた。
【トリプルアクセルにはリスクがつきまとう】

今季初戦となるジャパンオープンでは「ジャンプをどうするかといったことは気にしていなくて、プログラム全体を考えています」と語っていた浅田だが、シーズンが深まるにつれて、やはりトリプルアクセルについての話題が中心となりつつある。裏を返せば、それだけその他の部分で隙が見当たらないということだろう。課題に挙げていたスピンやステップはほとんどの試合でレベル4を獲得。トリプルアクセル以外のジャンプもほぼノーミスに近い。より上を目指すのであれば、難度の高いエレメントに挑戦するのは当然のことだ。
それに加え、現状では浅田と同レベルで争える選手がいないことも、さまざまなチャレンジを行ううえでプラスに働いている。今季出場した3試合(ジャパンオープンを除く)はいずれも2位の選手に10点以上の差をつけて優勝するなど、いまや敵なしの状態。GPファイナル2位のリプニツカヤ、3位のアシュリー・ワグナー(米国)は共に「世界で一番強い」と浅田を称している。
トリプルアクセルにはつねにリスクがつきまとう。転倒する可能性も高く、大技であるだけに体力も消耗しやすいからだ。僅差の勝負であれば、なかなか挑戦しにくい部分もあるだろう。しかし現在はその心配がないだけに思い切ったチャレンジができる。もちろんそれも、スケーティング技術などの基礎をしっかり磨きあげてきたこの3年間の成果が、実となって表れているからでもある。
浅田もその効果を実感している。
「基礎から見直してきて、いまようやくその基礎が身についてきました。一からやるというのは本当に大変なことで、やっている最中にこれで大丈夫か、これで合っているのかなとやってきて、いまでも完璧ではないので、時には悩むこともあります。ただ、その失敗を考えて修正できるようになってきているので、やってきて良かったと思います」
【挑戦する勇気を失わなかった】

今季限りでの引退を表明している浅田にとっては、出場する大会すべてがラストになる。初出場した05年のGPファイナルでいきなり優勝を飾ったのは15歳のとき。当時は最年少だったが、あれから8年が経過した今大会では最年長の選手として再び頂点に立った。「早いですよね」と浅田は笑ったが、長きに渡りこうして第一線で活躍できたのは、“挑戦する勇気”を失わなかったからだろう。先に述べたように、トリプルアクセルにはリスクが伴う。成長による体格の変化で、以前のように跳べなくなったときでも、浅田は決して自身最大の武器を捨てなかった。ワグナーは「女性のスケーターでトリプルアクセルをやるんだと言う選手は、それだけで尊敬できる選手だと思う」と、浅田への称賛を惜しまない。
佐藤コーチもその難しさを知りながら、浅田の挑戦を見守っている。
「トリプルアクセルは素晴らしいジャンプだし、本人のなかではどうしても挑戦したいという気持ちがある。それを取り上げるようなことは僕にはできない。彼女のテンションにも影響してくるので、そのへんのバランスを考えて、挑戦できる方向に持っていきたい。女性にとって、(トリプルアクセルを跳ぶことは)とんでもなく能力的に難しいということを痛感させられているんですけど、練習ではできていますし、もう少し頑張ってなんとか彼女の夢をかなえられたらいいなと思っています」
GPファイナルで優勝したこともあり、浅田のソチ五輪出場はよほどのことがない限りほぼ当確だろう。残る試合は全日本選手権などわずかだが、ひとつひとつの実戦を大切にしていくつもりだ。「自分に対してのチャレンジをしていきたい」。浅田の意欲は衰えるどころか、ますます燃え上っている。
<了>
(文・大橋護良/スポーツナビ)
スポーツナビ2013年12月8日 13:35
浅田真央(中京大)にとって、もはや敵は内なる自分しかいないのかもしれない。今季のグランプリ(GP)シリーズは2戦2勝。12月5日から行われたGPファイナル(福岡)でも、2位のユリア・リプニツカヤ(ロシア)に12点近くの差をつけて危なげなく連覇を達成した。決して完璧な演技をしているわけではない。7日のフリースケーティング(FS)でも、冒頭のトリプルアクセルで転倒、2本目も回転不足を取られた。スピンではすべてレベル4を獲得しているが、自身が目指していた演技には程遠い出来だった。
浅田もそれを認めている。
「今回のファイナルでは、自分の目指していたことがショートプログラム(SP)ではできていたんですけど、FSではそれを達成できなくてとても悔しい気持ちです。トリプルアクセルを2回入れるというプログラム構成は、いま自分ができる最高レベルのものです。1回目をしっかり降りたら、もう1回は落ち着いていこうと思っていたんですけど、大きな転倒をしてしまうとやはりなかなか次が難しいです。シミュレーションができていない状況での挑戦だったので、もう少し練習が必要かなと思っています」
5日のSPでは、回転不足こそ取られたもののトリプルアクセルの着氷に成功。「良いジャンプを跳べている」と、手応えを語っていた。周囲の期待も当然高まっていたはずだが、またしても成功はおあずけとなってしまった。自身への期待もあったのだろう。FS後にミックスゾーンに現れた浅田の表情は、とても優勝者のそれには見えなかった。
「今回は順位よりも自分が目指しているレベルの演技をしようと思っていました。SPは満足していますが、FSはまだまだ目指しているエレメンツをクリアすることができなかったので、悔いは残っています」
【積極的に挑戦したことは意味がある】
そもそも浅田がFSでトリプルアクセルを2回入れることを示唆したのは、11月に行われたNHK杯でのことだった。「スケートアメリカのとき、(佐藤)信夫先生と一緒に練習しているうちにトリプルアクセルの調子が良くなっていき、すごく簡単に跳べるようになったので、これなら入れてもいいんじゃないかと思ったんです」。突如として飛び出したこの発言は驚きを持って伝えられた。
浅田は2010年のバンクーバー五輪で、女子選手として史上初となるSPとFSで計3回のトリプルアクセルに成功。これはいまも破られていないが、五輪以降は、満足に跳べない日々が続いていた。ようやく今年初めから挑戦できる状態となり、2月の四大陸選手権ではうまく着氷した。とはいえまだ確率は低い。今季に入ってからも試合ではまだ1度も完璧には決めてはいなかった。
それでも「80パーセントぐらいはできると思っています。もっと上のレベルで練習していくほうが私も楽しいし、それを試合で決められたら最高です。バンクーバー五輪のシーズンより調子もいい。できる自信はあります」と、浅田は力強く宣言していた。
そして迎えたGPファイナル。FSでトリプルアクセルを2回入れる演技構成に変えた浅田は果敢にチャレンジした。結果は前述の通りだが、積極的に挑戦したことには意味がある。「今回は挑戦してみなきゃ分からない部分があったので、とりあえず挑戦して、ここから先をどうするかを、この先の練習を見て決めていきたいと思っています」と、佐藤コーチも同調していた。
【トリプルアクセルにはリスクがつきまとう】
今季初戦となるジャパンオープンでは「ジャンプをどうするかといったことは気にしていなくて、プログラム全体を考えています」と語っていた浅田だが、シーズンが深まるにつれて、やはりトリプルアクセルについての話題が中心となりつつある。裏を返せば、それだけその他の部分で隙が見当たらないということだろう。課題に挙げていたスピンやステップはほとんどの試合でレベル4を獲得。トリプルアクセル以外のジャンプもほぼノーミスに近い。より上を目指すのであれば、難度の高いエレメントに挑戦するのは当然のことだ。
それに加え、現状では浅田と同レベルで争える選手がいないことも、さまざまなチャレンジを行ううえでプラスに働いている。今季出場した3試合(ジャパンオープンを除く)はいずれも2位の選手に10点以上の差をつけて優勝するなど、いまや敵なしの状態。GPファイナル2位のリプニツカヤ、3位のアシュリー・ワグナー(米国)は共に「世界で一番強い」と浅田を称している。
トリプルアクセルにはつねにリスクがつきまとう。転倒する可能性も高く、大技であるだけに体力も消耗しやすいからだ。僅差の勝負であれば、なかなか挑戦しにくい部分もあるだろう。しかし現在はその心配がないだけに思い切ったチャレンジができる。もちろんそれも、スケーティング技術などの基礎をしっかり磨きあげてきたこの3年間の成果が、実となって表れているからでもある。
浅田もその効果を実感している。
「基礎から見直してきて、いまようやくその基礎が身についてきました。一からやるというのは本当に大変なことで、やっている最中にこれで大丈夫か、これで合っているのかなとやってきて、いまでも完璧ではないので、時には悩むこともあります。ただ、その失敗を考えて修正できるようになってきているので、やってきて良かったと思います」
【挑戦する勇気を失わなかった】
今季限りでの引退を表明している浅田にとっては、出場する大会すべてがラストになる。初出場した05年のGPファイナルでいきなり優勝を飾ったのは15歳のとき。当時は最年少だったが、あれから8年が経過した今大会では最年長の選手として再び頂点に立った。「早いですよね」と浅田は笑ったが、長きに渡りこうして第一線で活躍できたのは、“挑戦する勇気”を失わなかったからだろう。先に述べたように、トリプルアクセルにはリスクが伴う。成長による体格の変化で、以前のように跳べなくなったときでも、浅田は決して自身最大の武器を捨てなかった。ワグナーは「女性のスケーターでトリプルアクセルをやるんだと言う選手は、それだけで尊敬できる選手だと思う」と、浅田への称賛を惜しまない。
佐藤コーチもその難しさを知りながら、浅田の挑戦を見守っている。
「トリプルアクセルは素晴らしいジャンプだし、本人のなかではどうしても挑戦したいという気持ちがある。それを取り上げるようなことは僕にはできない。彼女のテンションにも影響してくるので、そのへんのバランスを考えて、挑戦できる方向に持っていきたい。女性にとって、(トリプルアクセルを跳ぶことは)とんでもなく能力的に難しいということを痛感させられているんですけど、練習ではできていますし、もう少し頑張ってなんとか彼女の夢をかなえられたらいいなと思っています」
GPファイナルで優勝したこともあり、浅田のソチ五輪出場はよほどのことがない限りほぼ当確だろう。残る試合は全日本選手権などわずかだが、ひとつひとつの実戦を大切にしていくつもりだ。「自分に対してのチャレンジをしていきたい」。浅田の意欲は衰えるどころか、ますます燃え上っている。
<了>
(文・大橋護良/スポーツナビ)
スポーツナビ2013年12月8日 13:35